詩画集「幻影」朗読会

2009年12月16日

ども、大西です。

12月22日(火)19時~ 開催の
詩画集『幻影』出版記念朗読会。

先日、この詩画集について掲載された記事です。



『幻影』 宇夫方 隆著

 この詩画集を手にとった者は、まずだれでも意表をつかれると思う。力強いデザインの左開きの表紙を開けると、ヨーロッパの街やアラブ人の肖像や裸婦、仏像やキリスト像などの印象的な素描画が次々と現れる。それらには短い詩句が添えられていて、形而上的でエキゾチックな雰囲気をかもしだしている。しかもすべての文字が活字ではなく、横書きの手書きペン字で印刷されているのだ。つまり完全な手作りである。作者の強い思い入れとこだわりがおのずから伝わってくるのだが、それは手すさびの域を超えたユニークな精神世界に私たちを誘ってくれる。
 標題にもなった「幻影」の一部を引こう。
「深まる秋の/茜色に染まる夕日が美しいから/わたしのための子守歌をうたおう/なにもかも不在となる/私の季節の所在を」
 大半の詩は、このような精神の彷徨をモチーフにしている。人生の旅人としての孤独と憂愁、あるいは無常感といったものがどの詩編にも反映していると思う。また老境にある作者の虚無感が平易な言葉でうたわれた作品や、寓意をこめた軽妙な作品など多彩である。
 120余編からなる全体のごく一部になるけれど例えば
「ポケットを/夢で満たした人がいます/ポケットをお札でふくらませた人もいます/ポケットに感動を/そっとしまいこんでいる人がいます」(ポケット)
「わたしがまだ幽霊だった頃/生贄にされた羊の背にのって/無明の闇に行ったのです/秋だというのに/風の音も聞こえず/ただ ときおりカラスの鳴く濁った声が/闇をふるわせていたのです」(幽霊)
「だからどうしろというのですか/わたしはもはやわたしではないのです/もう灰になっているのです//灰は灰の中で不在のまま存在するのです」(灰になって)
 このように幅広いテーマで自在な表現が展開されているのである。
 なお附録の散文も、スペインで生活の機微がいきいきと伝わってくる愉しい読みものになっている。
(岡本定勝・詩人)



沖縄タイムス 09年11月21日掲載


tsuchi│2009年12月16日 23:01 │コメント(0)TB(0) │カテゴリ:イベント

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